2026年9月1日にヴァンクリーフ&アーペルよりアルハンブラ コレクションに新たな素材が追加されることが発表されました。
ヴァンクリーフ&アーペルのサヴォアフェール(=フランス語の「savoir(知る)」と「faire(作る・行う)」を組み合わせた言葉で和訳すると「匠の技」「熟練した職人技」の意味)を活かした透き通るようなピンクのエナメルで、その内側には微細な泡のようなインクルージョンがありとても美しいジュエリーとなっています。
ところがSNSを見てみると意外にも否定的な意見も散見されます。
その理由とは?ダサいの?解説致します。

新作 ピンク エナメル
おそらく2024年のブルーアゲート以来の新素材&新カラーとなったピンク エナメル。エナメル素材がアルハンブラ コレクションに採用されるのは、レギュラー商品だけではなくホリデーコレクションを見渡しても初の試みです。

ジュエリーにおけるエナメルとは、金や銀、銅などの金属の表面にガラス質の釉薬(ゆうやく)を乗せ、約800度前後の高温で焼き付けて色を定着させる装飾技法のことで、日本では七宝焼きと言われたりもします。
ヴァンクリーフ&アーペルはこのエナメルを長年に渡り研究、そして採用し続けてきたメゾンであり新作のピンク エナメルにもとてつもない技術力が詰まっています。まさにサヴォアフェールといった所です。

ヴァンクリーフ&アーペルから発表された新作の半透明ピンクエナメルを使用したアルハンブラコレクションは5つ。ヴィンテージアルハンブラのペンダント ネックレス(56万6500円)、5モチーフのブレスレット(94万6000円)、10モチーフのネックレス(180万8400円)、20モチーフのネックレス(349万8000円)、そしてギヨシェとの2モチーフとなっているマジックアルハンブラのイヤリング(158万4000円)です。
否定的な意見の理由
SNS上に散見される否定的な意見で多いのは「エナメルという素材」に対してと、「そのエナメルをヴァンクリーフ&アーペルが採用したこと」さらには「定価設定がこれまでのラインアップと変わらない」点です。
といったところで要は、
・天然石ではないものに価値感じられない。
・世界5大ジュエラーのヴァンクリーフ&アーペルがエナメルを採用。
・定価は高い。
と言うのが否定派の意見です。
ですがこの記事を書いている大和屋質店スタッフは今回のヴァンクリーフ&アーペルの新作アルハンブラ ピンク エナメルに非常に魅力を感じている次第です。肯定派としてその理由を書いていきます!
エナメル アルハンブラの凄さと魅力
ここからはピンク エナメル アルハンブラの否定派の皆様および、購入を検討しているんだけどSNSの否定的な意見を見て悩んでいるという皆様に是非とも届いてほしい内容となっております(笑)
問題①:天然石が使用されていない
→過去にもあった!
確かに否定的な意見として挙がる「エナメルは天然のものでは無い」は仰る通りです。現在ラインアップ(ピンク エナメル除く)にあるアルハンブラ コレクションは以下の通り。
| 商品画像 | 仕様素材 |
|---|---|
![]() | オニキス=天然半貴石 |
![]() | マザーオブパール=真珠を育む真珠母貝の内側にある天然素材 |
![]() | カーネリアン=天然半貴石 |
![]() | タイガーズアイ=天然半貴石 |
![]() | マラカイト=天然半貴石・孔雀石 |
![]() | カルセドニー=天然半貴石 |
![]() | ブルーアゲート=天然半貴石 |
![]() | ギヨシェ=金 |
![]() | ダイヤモンド=天然貴石 |
このように現行ラインナップは半貴石と呼ばれる宝石か、貴石のダイヤモンド、もしくは金素材そのものを加工したいずれかとなっています。ですが!ホリデーコレクションではこれまでにも天然石以外のものが使用された例はございました。
それがホリデーコレクション2015のピンクセーヴルと2019年のセレスティアンブルーのセーヴルです。セーヴル磁器とはフランスを代表する最高級の宮廷磁器のことで、その素材や原料は天然石由来などの有機物ではありません。

つまり「ヴァンクリーフ&アーペルがアルハンブラに人工物を!?」とのマイナス意見がありますが、実はヴァンクリーフ&アーペルは無機物のフランス固有の伝統技法を採用してきた過去があるのです!
そして言わずもがなこの2つのアルハンブラホリデーコレクション2015と2019は当時の販売定価375,000円と385,000円を大きく上回る価格で現在取引されています。
問題②:ヴァンクリーフ&アーペルがエナメル?
→とてつもない技術と歴史の詰まったエナメル
ヴァンクリーフ&アーペルはメゾンの歴史上において長年にわたりエナメルを採用・研究し続けてきました。その分野においては間違いなくジュエラー界でも際立った存在と言えます。近年ではハイジュエリーコレクションや時計にその技術力を発揮してきました。
また単にエナメルと言ってもヴァンクリーフ&アーペルでは伝統技法の継承に加え、メゾンは新しいエナメル技法の開発にも熱心に取り組んでいます。
・グリザイユ エナメル技法
16世紀にリモージュで発展した技法で黒や濃紺などの暗い色と、白といった明るい色の2色を用いることでその相互関係により遠近感が生まれます。

・プリカジュール エナメル技法
ステンドグラスのようにエナメルに光を通す技法で金属の下地の上ではなく、金属の枠やワイヤーにエナメルを流し込むことで半透明の透かし効果を得ることができます。

・セッティング イン エナメル技法
金属のパーツを一切使用せずに光を通す「プリカジュール エナメル」に直接窪みを開け、金属パーツを使わずに宝石をセッティングする、ヴァン クリーフ&アーペルが開発した特許出願中の高度な独自技法です。

・ヴァロンネ エナメル技法
エナメル技法のバリエーションのひとつで、平面になりがちなエナメルに立体感を生む技法。

・シャンルヴェ エナメル技法
最終的なデザインへ向けて金属に作った窪みにエナメルを施し、熟練の技術者によって余分なエナメルを消去する技法です。糸のような気品のある金属の輪郭に際立てられた、美しいデザインに仕上がります。

・ファソネ エナメル技法
エナメルの更なる可能性と進化へ向けてヴァンクリーフ&アーペルがメゾンの威信を賭けて開発した技法です。16か月に及ぶ研究と開発を経てこの技法の特許を取得したこの技法ではエナメル粉を焼成したのち、少しずつ丁寧に切削を施して立体的なフォルムを形作ります。従来はフラットな表現や平面への施工が中心だったエナメル装飾において、複雑な曲面やボリュームのある立体的なモチーフを表現可能にしました。

・セレ エナメル技法
ヴァン クリーフ&アーペルが考案した技法で、高度な専門技術と熟練度を必要とするのがセレ エナメルです。2つのエナメルのパーツを接着剤や金属パーツを使用することなくぴったりと合わせる技法で、エナメルの焼成は常温からスタートし、何度も温度を上げ下げしながら定められた温度変化をたどり、12時間かけて行われます。これにより異なるカラーやモチーフのエナメルを一体化させることが可能になっています。

・カボション エナメル技法
エナメルを何層にも繰り返し厚く塗ることで、丸みのある表面にする技法。

・パイヨネ エナメル技法
2層のエナメルの間に金箔=パイヨンを流し込むことで透明感ある光沢が生み出されます。

・エナメル デカール技法
エナメル デカールは伝統あるサヴォアフェール=匠の技のひとつであり、エングレービングを引き立てる技法です。古くから使用されてきた鋳鉄製の機械と、ヴァン クリーフ&アーペルが考案した特殊な手法での調整により、極めて正確に仕上げられます。
このようにヴァンクリーフ&アーペルはメゾンの歴史を通してどこよりもエナメルに対する造詣が深く、エナメルの新たな可能性も探求してきたメゾンなのです。SNSで言われてるような低コスト化=エナメルの採用は全くの的外れということです。
問題③:定価の高さ
→それだけの技術力が詰まったアルハンブラ
SNSで見かけるピンク エナメル アルハンブラの懐疑的な意見が「定価の高さ」です。ヴィンテージアルハンブラ ペンダント ネックレスで56万6500円というのはこれまでのアルハンブラコレクションと変わらない定価設定ですし、半貴石ではないエナメルを使用したことで廉価版アルハンブラのような価格を期待したのだと思います。
ですが問題②でも説明した通りヴァンクリーフ&アーペルにとってのエナメル素材とは単なる廉価素材とは言えずとてつもない技術力や知力の結集と言えます。
さらに今回の新作ピンク エナメルは着色にも秘密があります。

通常エナメルの着色には顔料が使用されますが、ヴァンクリーフ&アーペルは、ルージュ ア ロール(Rouge à l’or)製法(=フランス語で「黄金による赤」の意)と呼ばれる17世紀にフランスで確立された伝統的な技法から着想を得た技法を用いています
エナメルを製造するときに純金のナノ粒子を配合することで、無色→赤へと発色します。ここまでは17世紀に既に実現していたことですがヴァンクリーフ&アーペルの真価が発揮されるのはここから。
アルハンブラに合う理想のピンクに発色させるためには、金属(ゴールド)の粒子のサイズや、温度管理や配合に極めて高度なサヴォアフェール=(匠の技)が必要となり、ヴァンクリーフ&アーペル公式によると自社工房で数年がかりの研究の末に完成に至ったとされています。
詳細は語られていませんが17世紀ルージュ ア ロール製法をさらにアップデートした技法を用いてようやく誕生したのが2026年新作のピンク エナメル アルハンブラなのです。
しかも元も子も無いことですが宝石としての価値で言うとダイヤモンド・ルビー・サファイア・エメラルドの貴石とされるもの以外の半貴石は誤差程度の価値しかないとまで言われています。それでも美しい半貴石を使用してあの価格にしているのはヴァンクリーフ&アーペルのブランド力ともとれます。
相場 見通し
近年の大人気具合により在庫が枯渇することも多々あるアルハンブラコレクション。発売開始から一週間が経過した時点でも当然のごとく店頭在庫は皆無で、おそらくヴァンクリーフ&アーペルの顧客から優先的に案内されていることでしょう。
SNSではマイナスの意見も出ていたピンク エナメルのアルハンブラですが、ここまで説明してきた通り私自身はその人気に火が付くだろうと思っています。そのため相場が他のアルハンブラを下回るということは無いでしょう。
相場についても他のアルハンブラと同等に扱われると思います。
ですが、発売からしばらくはより高値で取引されることもあるでしょう。多くの女性にとってはピンクは間違いなく好きなカラーだと言う事も手伝いそうです。
最終的には状態や付属品によって前後はしつつヴィンテージアルハンブラ ペンダント ネックレスで30~45万円といった買取値に落ち着くでしょう。
しかし在庫薄が続く、さらにヴァンクリーフ&アーペルの価格改定により定価がさらに引き上げられるといった事が重ねればさらに増していくことになります。

既に値上がりが頻発していた2024年との比較でも、2026年9月現在は約20%UPとなっています。定価の上昇に引っ張られるように買取価格や質預かり価格、二次流通価格も上昇しています。
まとめ
ヴァンクリーフ&アーペルの新作発表、メゾン史上初となるアルハンブラへのエナメル採用に対してSNS上では否定的な意見も多く見られましたが私自身この商品はヴァンクリーフ&アーペルのブランド史における素晴らしいものだと思っています。
日本人は周りの意見に左右されやすいとい側面があると言われていますが、ピンク エナメルが良いな!と思った方は自信を持って購入を検討してみて欲しいです。
「可愛いけど…」なんて思わず自信を持って!!笑
否定的な意見を言われたら、ヴァンクリーフ&アーペルにおけるエナメル素材の重要性やピンクの発色についてその方に教えてあげましょう!
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